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松下電器産業株式会社(2008/10/1にパナソニック株式会社に社名変更予定)
(2008/2/19 Uploaded)



会社設立

1935

上場/非上場

上場(東証1部)

上場年

1949

代表者

大坪 文雄

従業員数(単独)

43,673

従業員数(連結)

309,037

売上比率

【連結事業】AVCネットワーク38(5)、アプライアンス12(6)、デバイス13(7)、電工・パナホーム17(4)、JVC6(-1)、他14(4)【海外】44(2007.3)

平均年齢

43.1

平均年収

838万円

系列

松下グループ

以上、一部はYahoo! Financeより引用


インタビュー協力者

現役/元社員

元社員

新卒/中途

新卒

職種

企画担当

年数

3年以上勤務、退社後5年未満




新卒就職活動~内定~入社~研修

(就職活動)
3年生の12月頃にエントリーシートを送付し、3月から面接。面接は合計で7回実施された(人を本当によく見ている会社なので、面接回数が多い)。
・松下電器を受けた理由は、大きな会社でリソースがあること、ネームバリュー、日本の会社で一番いいこと、いいところ(価値観など)を持っている、と考えたため。面接では一貫して、松下電器の会社のカルチャーを見てみたい、異なった個性同士のぶつかりあいをしたい、とアピールした。

・一次面接、二次面接ともに集団面接
この段階では人を深く見ることはしていない。足きり的な要素が強いので、漠然とした印象を与えるのではなく、面白さをアピールした。またこの時期に同じ大学出身のリクルーターから連絡があり、会って話をした。

・三次面接~最終面接(七次面接)は個人面接
三次と四次は同じ日のそれぞれ午前と午後に、また五次と六次も同じ日の午前と午後に実施された。また最終面接時には筆記試験も合わせて実施された。面接官から聞かれた内容はごく標準的。嫌味な質問も中にはあり、「本当にメーカーの仕事をやりたいのか」「会社の名前だけで来ているのではないか」など聞かれた。

・新卒採用には「4月期」「5月期」というように、期が設けられており、それぞれの段階で内定をどんどん出していく。そのため、早い期の方が有利。会社は良い人材を採用するのに必死だという印象を受けた。ちなみに面接自体は3週間程度で終わり、GW前には内定をもらった(毎週一度程度があった)。新卒採用は青田買いの要素が強かったと思う。

・面接官との受け答えだけではなく、学生が接する全ての人から意見を聞いている。例えば、面接会場の周りにいる人、受付や案内の人など。また面接会場でのマナーも見られている。油断はせずに楽しそうに臨んだ。こうした採用方法を考えた松下の人事は優秀だと思う。当時は松下電器自体も赤字だったが、これまでとは違う人材を採りたい、本当にとりたい人材は何としても採る、という意欲が伝わってきた。

(内定から入社まで)
・会社見学ツアーや、展示会への出席、内定者と人事社員との懇親会が行われた。入社までの期間に事故や犯罪、社会的問題を起こすな、と人事からは言われた(実際に何かしら問題を起こして入れなかった人もいた)

(入社)
・新卒社員は大きく技術系と企画系に分かれており、自身は企画系に所属した(人数は企画系(文系)が100人程度、技術系(理系)が500~600人程度)。社内カンパニーが大きく3つ、「システムソリューション」「コンシューマエレクトリック」「半導体」があった。これ以外には本社部門などがあった。
・配属は大枠決まっているが、希望を出すと変わることもある。配属先により研修内容も異なる。

(研修~配属)
・研修は4月から9月。大阪府枚方市にある研修所とその近くの寮にカンヅメ状態になり、松下の精神、考え方を叩き込まれる。ちなみに寮はかなりぼろいが、研修所の近くに住んでいる人以外は寮に原則入る必要があった。割り当てられる寮は当たり外れがあり、遠い人だと3回電車とバスを乗り換えて、片道2時間かかっていたようである。

・研修内容は、全体のクラスルーム型の研修や、その場でのディベートなどがあった。全体研修実施中に、人事との面接があり、配属部署の詳細を詰めていった。

・研修所以外では、販売研修、工場研修が実施された。販売研修では、大きくないパナショップ(松下電器の販売店)で業務お手伝いをした。自転車で電球をお客さんに届ける、といったこともやった。また工場研修では、技術系、企画系関係なく制服を着用し、IHヒーターの製造ラインに入った。

・研修期間中は、レポートを書くことが義務付けられ、その日の総括内容に加えて、所感を記入し提出した(松下は社員に所感を書かせるのが好き)。

・研修期間は新卒を約20人ずつに班分けしていた。この班のメンバー同士では仲良くなった


仕事内容/仕事の進め方

(配属/仕事内容)
・希望通りの部署に配属が決まったが、最初の年度では色々な部署の仕事を2ヶ月ごとに経験させるという制度があり、所属部署以外に2つの部署の経験をした。所属部署に配属された最初の時期は部署のサポート的な仕事を行っていた。新卒は上司がトレーナーとしてついた(20歳くらい年上だった)

・業務内容は新サービスの立ち上げやその企画。新しい事業やメディアをどう組み合わせてハードウェアの付加価値を高めるかをずっと考えていた。また考えた企画に社内でゴーサインが出ると、実際にその企画が世の中に出るまでの一連の流れを受け持った。

・仕事は比較的早い段階から任せてくれたが、色々と失敗もしたので、もう少し長い期間上司の下について仕事をした方が良かったのではないかと今振り返ると思う

(仕事の進め方)
①ブレインストーミングをして、ビジネスプランを作成(判子は上司が押すが、企画自体は2~3人で作成する)
②企画の詳細の仕様を決定しプランに落とし込む(具体的なプランを作成)。また予算取りに動く。
③企画が立ち上がり、実際の開発が開始される。物により開発期間が長かったり短かったり、また他の企画との同時進行などがあったりする。
④企画が実際の「サービス」となり、ユーザーへの提供が開始される。サービス開始のイベント、ニュースリリースなどを出す。
⑤サービスの運用を行いながら、成長戦略を考える

・ちなみに個人的に一番楽しいのは、①から④までの企画を立ち上げるまでの段階(毎度やる内容が新しいから)。例えば、物事をお願いする人、チーム、コンテンツ、全てが毎度違う。企画が実際に立ち上がって動き出すと稼働中のサービスのメンテナンスが中心となってしまい、仕事のパターンがあまり変わらなくなってしまうので、個人的にはつまらないと感じてしまう。

・大変さ的にはどのフェーズも同じ。各人が自分の担当企画を全部把握していなければならない。ある意味プロダクトマネージャーのように、社内外の折衝、価格決め、報酬体系、結果分析などを行う必要があり、ペーパーワークも多くあった

・新しいものを立ち上げて成功させるのは難しく、成功する確率は20回に1回程度。投資対効果はしっかり考えて原資が回収できるかどうか計画する必要はある。ただそもそも成功率は低いのだから、必要以上に考えすぎないことも必要。ちなみに予算は大きく、小さなもので100~200万円、大きなものだと億以上になるものもある。

・サービスを立ち上げてはうまくいなかいことが分かり潰す、というある意味無責任な仕事とも言える。やっていた仕事は大成功はしなかったが非常に面白かった(自分が手放したくないような大成功の仕事はなかった)。自分自身でビジネスを始めるほどの勇気はないが、何か面白いものを立ち上げたい人は、大企業でこうした仕事をするのが一番よいと思う(日本の大企業は成果報酬ではないので、大成功しても給料が上がるわけではない。そうであれば、楽しく自分のやりたい仕事をやっていくのが一番)


組織/異動

(組織)
・組織階層は下記の通り。組織階層はかつてはもっと複雑であったが、現在は階層が少なくなっている。ちなみに、主事は20代後半~30代に基本的に誰でも昇進できる。
 

社長>役員=事業部長>本部長=執行役員>GM>参事>主事>平社員

GMは30代中盤から遅い人だと50代の人もいる(参事にはなれない人もいる)。それより上への昇進は実力次第。

・主事や参事への昇格には試験があるが、試験の順番が回ってくると受けられるという仕組みになっている。よって、本人の優秀さと部署の都合が一致することが必要。試験の内容はプレゼンテーションの仕方などがあるが、松下の精神の浸透度合い、松下における作法を熟知しているかどうかを確かめるための試験という位置づけが強いと思う。ちなみに主事までが組合員、参事以上が管理職

(異動)
e-チャレンジ制度という社内公募制度があり、行きたいポジションが空いており、必要年次を満たしていれば、この制度を使って異動することが可能。上司に言う必要もない。
・またこれ以外に、会社都合や組織変更による人事異動ももちろんある(ポジションは変更するが、仕事の内容は変わらない、というものもある)
・この他、2年間日本以外の国の松下電器現地法人に雇ってもらえるという海外研修制度もある。


カルチャー

(朝会)
・朝の9時から朝会(朝礼)が15分ある。最初に松下電器の社歌を歌い、その後日直の人が松下幸之助の制定した「遵奉すべき七精神」が書いてある巻物を開いて、読み上げる。読み上げる人は、自らの所感についてスピーチする必要があり、最近の出来事を七精神に関連づけて話すのが一般的。最後に皆で拍手する。

・この朝礼はルーティーンで仕方なくやっている人が多数(これは企画系のホワイトカラーの仕事であっても毎日行っている。工場ではこれに加えてラジオ体操が加わる)。部門に1人いる総務社員(出世ルートを外れている、部門のパソコンのセットアップやサポートを行っている社員)がこの朝礼の実施を強制している。

(人を大事にする/人事部門の影響力)
・組織のあり方に、人を大事にするという考え方がよく現れている

・人事は採用プロセスで話をよく聞いて、人を理解しようと努めている。配属希望が合わない時なども社員の希望やわがままを聞いて、各人の希望を満たすべく努力してくれている。意見や希望は言った者勝ちで、自分から何も言わないと言われるがままになってしまう

・ちなみに松下の人事は出世コースであり、採用する人などは基本人事が決めている(事業部が決めるのではない)。社内の人にまつわる部分を全て見ており、正しい人事部門とはこういう仕事だと言えるような仕事をしている

(年功主義)
・給料の高い「おじいちゃん」社員がいっぱいいる。子会社に出してもまだ松下電器本体に余っている。またガードマンや寮のおばちゃんも松下電器の正社員であり、人生そのものを松下電器にケアしてもらっている人が多数いる

(その他会社の特色・カルチャー)
・男女比は、男性7:女性3程度(部署によって異なる)

・新卒と中途の社員の比率は不明。新卒のほうが多いと思う

・社員同士のコミュニティ活動が盛ん。人を大切にする会社で、人と人との付き合いも非常に大切にする。よって人間関係が緊密になり社員は会社を辞めにくくなっている

・同じ事業部の中であれば、部門間の壁は意外と低い。他の事業部とはそもそも接点がない

・直接会うことが好き。大阪と会議するのでも電話で会議するのではなく、実際に大阪まで行って顔を合わせて会議するカルチャー

・会社としての松下電器が好きだったり、松下電器の製品が好きという松下社員は多い

・社員には配属時に三つ葉のマークの社章が配られ、基本常時つけている。なくすと始末書を書く必要があった。デザインがかっこよく、個人的には好きだった。自分以外にも社章を誇りに思っている社員もいた


評価/給与/生活

(評価)
・年度初めにターゲットプランというプランを作成し、提出。年度末にレビューがあり自己評価を提出する。評価を決めるのは上司と、上司の上司だが、彼らの判断により自己評価が覆ることもある

AA, A, B, Cといったランク付けがあり、年に一度評価が言い渡される。評価は悪くなかったので、特に不満はない。評価が上がっても給料が大きく上がる訳ではないので、それほど気にしていなかった

(給与)
・入社1年目は年収300万程度(メーカーはどこも同じ水準)。入社3~4年目で500~600万円程度(残業代込み)

・寮、住宅手当、借り上げ社宅制度があり、例えば寮であれば東京地区だと、会社が都営地下鉄線沿いなので、都営地下鉄線沿いの駅から近い物件に月1万円強で住むことができた

・毎年ベースの給料が上がるが、上がり幅が非常に小さい(月額に直すと数千円程度)。また成果給は全くない(年功給のみ)。残業代は出るが、サービス残業もある

(生活)
・一日の仕事の流れだが、朝は9時の朝会までに出社し、退社は9~10時頃。業務時間内に社内外の打ち合わせがあり、自分の仕事は夜6時以降にやることが多かった。期末は忙しいため退社時間が遅くなることが多かった

(休暇)
・夏休みは7月から9月の間に取得で、決められた夏季休暇に1,2日加えて休むのが一般的であった。ただ、メーカーなので会社全体の休みがあり、会社都合で強制的に休みにさせられることもあった

・有給日数自体は日本で一番多いといわれるくらいあり、20~22日もあった。ただ、通常の有給休暇は取りにくい雰囲気があり、毎年繰り越してかなりの日数がたまっていた。


結論

(働く環境としてのこの会社に点数をつけると)
65

(辞めた理由)
・他にやりたいことがあり、自分がやっていた仕事がある程度片付いたから

・若手社員の給与が低い(日本企業の平均からすると低いわけではないが)。窓際のおじさんが1200万円とかもらっていて、何もやることがなくてお茶を飲んでいる、という具合に給与の分配がおかしい。成果を出した人は有能と認識されるのは良いが、それが成果給として給与に反映されないのはおかしい

・外の会社で自分の実力を試したかった。野心がある人には合わない社風かも知れない(
会社の居心地は良いので、新卒で入るのではなくて、3つめの会社として入りたかった)。

Good
・人がよい、また社内のコミュニティが良い
・理念が素晴らしく尊敬に値する。また理念が生きている
・人のために良い仕事をしているという使命感がある
・日本を代表する企業の良さを持っている

Bad
・給与が低い、成果報酬がない
・キャリアプラン(やっている仕事が他の会社では通じない。会社の描くキャリアプランが長期的すぎる)
・年齢の差によるトップダウン(年次で序列が決まる)

(入社希望者向けにメッセージ)
・やりたいことを優先するのなら、小さな企業のほうがよい(企業が大きいことにこだわるな)。組織は会社ごとにそんなには変わらない
・一生で何度かは転職するので、大きな会社に入るのなら給料の良いところ、成果報酬が大きいところに行ったほうがよい
・会社としては尊敬できる(創立者の人格の大きさがよく出ている)