監査法人トーマツ
(2008/2/6 Updated)
|
会社設立
|
1895年
|
|
上場/非上場
|
非上場
|
|
上場年
|
-
|
|
代表者
|
佐藤 良二
|
|
従業員数(単独)
|
4,715人
|
|
従業員数(連結)
|
-
|
|
売上比率
|
-
|
|
平均年齢
|
-
|
|
平均年収
|
-
|
|
系列
|
デロイト・トウシュ・トーマツのメンバーファーム
|
インタビュー協力者
|
現役/元社員
|
現役社員
|
|
新卒/中途
|
新卒
|
|
職種
|
監査
|
|
年数
|
入社5年未満
|
|
就職活動~内定~入社・研修~配属
|
(就職活動~内定)
・当時は10月の公認会計士(補)の最終合格発表日に、合格した人が各監査法人に面接を申し込む。面接から採用決定まで短期間で進む。当時は人が余っており、大手に就職できたのは6割で、残り4割は中小の監査法人に就職していた。
・面接は1日に2回受け、その日に内定が出た。マネージャー(課長級)クラスとの面接、パートナーとの面接どちらも聞かれた内容は一般的なもの。「会社に入ったら何をやりたいか」「何故この監査法人を選んだか」「何故この業界を選んだか」「自分は今後どうしていきたいか」といったもので、時間はそれぞれ30分程度。また当時は別途英語試験があった(現在は実施されていないかもしれない)。
(現在の就職状況)
・現在は人手不足で「超」がつく売り手市場なので、問題がなければほぼ採用される。また10月の最終合格発表を待たずに、短答試験に合格した人(=まだ最終の論文試験を受けておらず会計士補に合格していない人)も青田刈りでどんどん入社させている。
・このような状況なので最終に受かれば引く手あまた。ちなみに短答は受かったが論文は落ちたという人は2年間の有期雇用で勤務を続けることが可能(職位はジュニアスタッフという名称で、最終の論文試験に受かったら、正規の社員に昇格する)。
(入社・研修)
・内定から1週間程度、10月中旬に入社となり、1ヶ月間研修が行われる。
・研修の内容は、一般的なマナー研修に加えて、3週間の実践的な研修が実施される。
・配属先は、研修期間の半ばに各部署の説明があり、それを聞いた後に第三希望まで配属希望を出す。配属先は研修最終日に通知される。
|
|
配属・仕事内容
|
|
(配属・仕事)
・配属されたばかりの新人は、有価証券報告書(有報)や半期報告書(半報)の作成や、監査の中でも簡単な項目(現預金、借入金)について担当しながら業務を覚えていく。ちなみに税金や販売関係の項目は、会社の業務を理解していないといけないため、中堅社員以上が担当している。
(年間スケジュール)
・毎年7月に提出する、年間班員計画(年度ごとの人員割り振り計画)に従い、基本的に仕事は3ヶ月単位で、3ヶ月先までの詳細なスケジュールが組まれている。例えば、11月中旬に1~3月のスケジュールを組む、といった具合である。ただ、新規の案件が入って、スケジュールが変更されることもある。
(プロジェクト)
・担当顧客が割り当てられ、原則複数の顧客を通年で担当する。会社規模にもよるが、1社に5~6人程度が割り当てられることが多い。担当する社数は、メガバンクなどであれば専任で担当、そこまで大きくない企業であれば10社以上担当する場合もあるが、核となる担当社は一人6-7社というのが一般的。ただ、手が空いていると、担当者以外の仕事(ジョブ)をどんどん入れられる。決算時期は、会社規模にもよるが毎週別の会社の決算を担当する、ということはよくある。
・基本的に仕事の流れは、内部統制と決算作成の2つがある。前者は年間を通じてどのように数字がつくられているかの過程についてを検証するもので、年に2度監査を行う(中間監査:7月、残高監査:2月)。後者は10月下旬から半期決算書の作成、4月下旬から期末決算書の作成を行う。両方に通じていることが重要であるため、前者も後者も同じ人が担当することが望ましい(その時点時点で会社を見るのではなく、経過、フローを見る必要がある)。ただ仕事が重なってしまいやむを得ず担当が分かれる場合もある。
・一度会社を担当すると、会社に対する理解がつくため、いったん担当させた会社を長く担当させる方針を持っている。また同じ人間が長く担当する方がクライアントにとってもよい(事業内容はそう変わらないので、理解のある人のほうが仕事しやすいため)。
|
|
組織/職位/評価
|
|
(組織)
・部門は大きく分けて、監査部門と、TS(トランザクションサービス、M&AやIPO支援など)部門があるが、TS部門への配属は当時人気が高かった(それに比べると監査部門は希望が通りやすい)。監査部門は、国内企業、外資系企業、金融機関、公共機関と4つに大きく分かれている。
・各部門の中でグループに分かれているが、直属の上司は存在せず、実際に仕事をする単位はチーム単位。例えばAグループに所属の田中さん、吉田さん、佐藤さんと、Bグループに所属の小泉さん、安倍さん、森さんが、「**電気」向けの監査を担当するチームを構成し、職位が主任クラスの田中さんがチームリーダーとなる、という具合。
(職位)
・年功序列の給与、昇進体系となっている。ちなみに<1>~<4>が非出資者(従業員)で、それ以上はパートナー(出資者)となる。
<1>入社~3年目:スタッフ
<2>4年目~6年目:シニアスタッフ
<3>7~8年目:マネージャー
<4>9~10年目:シニアマネージャー
<5>部門長
<6>各ブロック長(中京地区長、関西地区長、など)
<7>経営委員(通常の会社でいう取締役)
<8>CEO
・職位が上がると、下の面倒を見なければならないが、下に仕事を振れるので時間は自由になる。逆に下は、現場を離れると自由だが、自分のコントロールできる時間は少ない。
・パートナーになれるか、なれないかは、仕事の内容で判断され、年功ではなく能力的な面が見られるため、昇進できない人もいる。マネージャー以上はパートナーに対して意見をする立場となり、そこで能力や責任感が判断されるようである(昔よりこの傾向が強い)。
(評価)
・年に2度評価があり、年1度給与に反映される。
・評価は7段階で、7が最高、1が最低となっている。どのような分布になっているかは不明。
・評価項目は5項目あり、「効率性」「プロジェクト管理」「事務所貢献度」「業務に対する取り組み姿勢」「クライアントコミュニケーション」である。特に効率性とプロジェクト管理の項目はよく見られている。評価については納得性は高い(自分の考えや思いと近い)。
・半期で32時間以上働いたジョブのチームリーダーからそれぞれジョブごとに評価を受ける。これらをまとめた総合評価(パートナー評価)が下され、一番多くの時間を一緒に働いたチームリーダーがその総合評価に対してフィードバックを行い、最終評価が決定する。よってチームリーダーとウマが合う、合わないは非常に重要。
(異動)
・評価の際には、パートナーとの面談があり、その段階で行きたいジョブ、行きたくないジョブ、部署移動希望を伝えることが可能。トーマツは他の監査法人と比べ相対的にフラットと言われており、意見を言いやすい。なお、定期異動という考えはないため、異動希望を出さないとずっと同じ部署で働くこととなる。
・監査部門内での異動、もしくは監査部門外への異動、それぞれ希望を出せる。例えば財務や品質管理などである。グループのトーマツコンサルティングに行くことも可能だが、希望者は少ない。人気があるのはFASと呼ばれるM&Aや企業買収などを財務面からサポートする部門への異動。
・ただ、どの監査部門も人が足りず、めいいっぱいで業務をまわしているので、よほど強く希望を出さないと通らない。 |
|
カルチャー/動向
|
|
(仕事量の増加)
・会計士業界全体でここ数年、仕事がきつくなってきている。その理由は、エンロン事件、カネボウ事件以後、監査体制、審査体制を厳しくする方向に向かっており、これまで以上に調書の不備に突っ込みが入ったり、記載する文言の使い方に気を配る必要が生まれてきた。
・個人的には、大きな枠組みの変更で納得のいく変化と、どうでもいい些細な点の変化との両方があると感じている。後者は例えば、会計士協会への対応、金融庁への対応などである。こうした仕事量の増加は特に入社1、2年目の社員に負担となっており、彼らを消耗させている大きな原因となっている。
・かつては、繁忙期と閑散期が明快で、決算時期は繁忙期、それ以外は閑散期であった。閑散期は実質フリーな時間なので、その時間を使って勉強をするなどできたが、現在は閑散期がなくなり、年中どんどん仕事を入れられるようになってきている。
(くだけた人が多い)
・一緒に仕事をしやすい人が多い。パートナーでも「さん」付けで、「先生」などと呼ぶことはない。相談しにくいこともないし、話しづらい雰囲気もない。いい人が多い。下の人が聞きに来たら、断ることはない。人の面ではいい組織で悩むことはない。
|
|
給与/生活/休暇など制度と運用
|
(給与/手当て)
・月額支給を16で掛けた額が基本給で、これに業績給と残業代が加わる。残業代はすべて付けることが可能であるため、働いた分を全部つけて請求している。
・1年目は月額35万、2年目は月額1万2,000円~3,000円程度上がる。3年目で39万、シニアスタッフで45万、マネージャーで55万、シニアマネージャーで65万程度である。ボーナスは夏冬それぞれ2ヶ月分。冬は各個人の業績に応じて業績給が支払われる。
・ここ数年職位がスタッフの人に対する給与待遇が厚くなった。
・ちなみに現在の年収は800万程度。この仕事ではよい方だと思う。
(勤務時間)
・担当ジョブのチームリーダー(主任)により大きく異なる。ただ普通の企業と比べると、それほど長時間労働ではない。朝は9時半だが、主任がこない時は10時でもOK。基本自分の割り当てを終わらせて出せばそれでOKで、文句は言われない。
・繁忙期は朝の9時半から夜11時くらいまで。それ以外の時期は朝9時半から夜8時くらいまでが一般的だが、部門によっても差がある。
・なお、スタッフは現場にいってなんぼ、であり、顧客先での作業が多い。会社(事務所)では、調書の取りまとめや管理業務、主任対応の仕事を行うなど。職位があがるほど、事務所で仕事をする比率が高まる。
(休暇)
・繁忙期以外は取りやすい。有給は3ヶ月前に、仕事がフィックスする前に申請しておけばOK。夏休みはお盆休み期間に1週間(一斉休暇)。
・またジョブが入っていなければ「明日休みます」でもOK(仕事が入っていたらだめ)。
(新卒:中途)
・新卒9:中途1だが、社員が足りていないため中途は増える傾向にある。なお、会計士業界では転職をしても合格年次で取り扱い、給与が決まるため、過去のキャリアはそのまま引き継がれ、年次に応じた扱いを受ける。
(離職率)
・部門によるが、3~4年で3割~4割程度。辞める理由は監査がつまらないから。また監査業務自体が後追いなので、経営の上流に関わりたい人も辞めている。
(服装)
・7月~9月はカジュアル、10月~6月はスーツ。ただ基本的にはクライアントに合わせる。
|
|
総合評価
|
|
(評価)
・仕事内容:50~60点
・人:80~90点
・組織:60~70点
(Good)
・組織・人がフラット。良い人が多く話がしやすい点は評価できる。
(Bad)
・監査の仕事は面白くない。監査とは、後追いであり、あら捜しであり、ダイナミックさがない。監査自体を見るとつまらないが、その仕事をどう自分自身で位置づけていくかが問われる。例えば、監査業務によって、数字から全体感を把握し、どこに数字の関連性があるかを見ることで、面白さを感じたり、経営感覚を訓練する、と考えるなど。
・ちなみに監査業務自体は、どの監査法人も同じ。トーマツ自身も、監査法人業界も表裏一体で、どこも変わらない。
・仕事が細分化されており、部署間の移動をさせたがらない。よってTSやIPOやりたいといっても、監査業務とは切り離されていて携わることができない(監査は監査だけ)。よって仕事の内容やスキルが硬直化してしまう。
・クライアントの全体の動向を見ながら、売り上げと費用の連動性を見て判断する必要があると思うが、そうではなく、細かな間違いを探すために細部ばかり見ている。「森をみて、木を判断する」のではなく、「木ばかりずっと見ている」イメージ。
(この会社に入社を希望する人へ一言)
・新卒向け:監査業界内では悪くない。ただ、安易に会計士を目指すのではなく、監査の道を選択する前に、監査とはどういう仕事かをよく調べたほうが良い。選んだ後で、どう考えるかは自分次第。
・中途向け:新卒と中途の差別はない(他の監査法人も同様だと思う)。
|